日本の保守は左翼思想に依拠している(逆もまた真なり)

日本の保守陣営は、大日本帝國の批判の対象となっている諸行為を国際法に絡めて弁明することが多いですね(参考1, 参考2)。このように国際法を重視する立場を国際関係論における「理想主義」と言います。

国際関係論における理想主義とは、上に示したように国際法や国際機関などを重視する立場です。これは政治思想的には自由主義に属するものであり、広義の左翼思想です。保守陣営が左翼思想に依拠して大日本帝國を弁護しているとは、ちょっと意外ですね。

同様に日本の革新陣営は、戦争に負けたことを以って日本の諸行為に対する反省を促すといった論陣を張ることが多いです。こういった国家同士の力関係(ありていに言えば強者の論理)に従うといった立場を国際関係論では「現実主義」と言います。

本来、現実主義は特定のイデオロギーに依拠しないことを旨とするものですが、理想主義に対する批判的要素を持っているという点で右翼思想と言えます。実際、軍事力と勢力関係のみで世界を切り取る現実主義的手法は、実にタカ派らしく聞こえます。つまり、革新陣営は右翼思想に依拠して戦前日本を批判しているのです。これもちょっと意外ですね。

ちなみに理想主義(自由と正義の法理念)の目標を現実主義的手法(暴力)によって世界に広めようとする立場を新保守主義ネオコン)と呼ぶことがあります*1。ブッシュJr政権が代表的ですね。

*1:ネオコンは元来左翼でリベラルな人々が保守に鞍替えした」という一節が意味することは、ネオコン論者の思想背景には理想主義(左派思想)があるという意味でもあります。

地味で凄い深圳市

(まぁ、覚えても損はしないという程度の話です)

中国本土にある最大の都市といえば上海…というのが常識だ。だが一人当たりのGDPで言えば、華南にある広東省深圳市が最も裕福な都市なのである(参考1, 参考2)。実際、深圳は香港*1の衛星都市であり、同時にハイテク産業が盛んな珠江デルタ地帯の中枢部となっている。しかも輸出額では既に香港を追い越した*2。更に上海のように外国人も投資できる証券取引所まである。まさに華南地方における工業と金融の一大中心地だ。一人当たりのGDPが中国最高水準なのも納得がいくところである。

では、なぜ深圳市は国際的に地味なのだろうか*3。それは恐らく深圳経済特区に指定されているからだと思われる。ここで「上海も経済特区じゃないか」と訝しがる向きもあるだろう。しかし上海が指定されているのは「経済技術開発区」だ。経済特区ではない。

経済特区では他地域との交流が制限されており、ある意味で対内鎖国状態になっている。よって経済技術開発特区(上海や隣接する広州市など)のようなに大規模な人的交流は見られない。また観光地としては新興であり、カジノで知られる澳門のようなに外国人から注目される娯楽産業は少ない*4。こういった点で派手さに欠けるため、深圳は若干地味な印象となっているのだろう。

*1:どうやら最近はその香港すら追い越してしまったようだ。あと台湾を中国に含めるのであれば、台北市が最大都市になるかもしれない。もちろん政治的に微妙な問題なので華麗にスルー。

*2:もう少しで上海をも追い越すかもしれないらしいがデータが見当たらなかった。

*3:本人たちも気にしているらしい→参考

*4:名古屋や静岡のようなに実体経済に支えられた堅実な地域とも言えるだぎゃー。