日本の保守は左翼思想に依拠している(逆もまた真なり)

日本の保守陣営は、大日本帝國の批判の対象となっている諸行為を国際法に絡めて弁明することが多いですね(参考1, 参考2)。このように国際法を重視する立場を国際関係論における「理想主義」と言います。

国際関係論における理想主義とは、上に示したように国際法や国際機関などを重視する立場です。これは政治思想的には自由主義に属するものであり、広義の左翼思想です。保守陣営が左翼思想に依拠して大日本帝國を弁護しているとは、ちょっと意外ですね。

同様に日本の革新陣営は、戦争に負けたことを以って日本の諸行為に対する反省を促すといった論陣を張ることが多いです。こういった国家同士の力関係(ありていに言えば強者の論理)に従うといった立場を国際関係論では「現実主義」と言います。

本来、現実主義は特定のイデオロギーに依拠しないことを旨とするものですが、理想主義に対する批判的要素を持っているという点で右翼思想と言えます。実際、軍事力と勢力関係のみで世界を切り取る現実主義的手法は、実にタカ派らしく聞こえます。つまり、革新陣営は右翼思想に依拠して戦前日本を批判しているのです。これもちょっと意外ですね。

ちなみに理想主義(自由と正義の法理念)の目標を現実主義的手法(暴力)によって世界に広めようとする立場を新保守主義ネオコン)と呼ぶことがあります*1。ブッシュJr政権が代表的ですね。

*1:ネオコンは元来左翼でリベラルな人々が保守に鞍替えした」という一節が意味することは、ネオコン論者の思想背景には理想主義(左派思想)があるという意味でもあります。