AKIBAはメイド喫茶ではない
既にかなりの日本人に認知された感のある「タイのメイド喫茶」こと AKIBA*1ですが、タイの特派員(謎)によると AKIBA はメイド喫茶ではないとのこと。では何かというと、規模はかなり大きいが、マンガ喫茶の一種らしい。
タイでは日本文化が大流行中。その中には当然オタク文化も含まれている。
ここで重要なのは、タイの若者にとっては、日本のものは何でも「クール*2」であること。AKIBA のスタッフは確かにメイド服を着ているが、これはメイドとして客にサービスを提供するためではなく、AKIBA が「クール」な日本のオタク文化に浸れる場所であることの象徴の一つとして取り入れられているだけだ。
実際、AKIBA 公式サイトの日記に掲載されている写真の中には、「浴衣DAY」やトヨタ関係のイベントに出たなんてことが書いてある。日本のモノであれば、クールなのだから、オタク文化だけに固執しているワケでもない。当然、彼らが提供する食品中には日本製のお菓子が含まれている。
余談だが、当然「コスプレ」もしているようだ(以下、写真)。
- Fullmetal Alchemist というアニメらしい。
- NANAは世界中で人気だ。
- 日本のゲームも当然人気。
もう一つ。写真を見て頂ければ分かると思うが、AKIBA で働く女性たちの顔は、タイ人のイメージとはやや異なるだろう。東南アジア系の割には色が白く、顔立ちも日本人に近い。
実は、彼女らは中華系のタイ人*3なのだ。タイという国の国民観はフランス式で、どんな民族・人種だろうとタイ人であるとしているのだが、その中でも中華系が圧倒的に強い「マイノリティ」だ*4。実際、AKIBA で働く女性たちは、タイで言えば高水準の教育を受けている学生(バイト)が多い。もっとも、AKIBA のオーナーの評判はそれほど良いワケではないらしいが。
確かにタイでは日本文化が人気だ。しかし、そういった文化を楽しめるのは、どちらかといえば中流より上の社会階級の人々というのも事実。そして、これはタイだけに限らない。東欧では日本製の物品がスノッブ*5の象徴だし、ロシアでも日本車を買うのは金持ち層だ。もちろん、物価の関係もあるだろうが。
ところで、タイの特派員(謎)も中華系だが、彼はタイ男性ならば殆どが行うはずの出家もしていない。
もしかすると、彼らにとって日本が「経済発展」の象徴なのは、経済のために犠牲となり、欠けた伝統文化の代わりを日本の現代文化が担っているからかもしれない。ちょうど経済的に豊かな層が日本文化に慣れ親しんでいるのが一つの証拠といえるだろう。これは、韓国や中華、台湾でも同じ構造なのかどうか*6。
例え日本人がそれを嫌っても、日本の周辺国は経済発展のためには日本国を無視できないし、そうして国全体が日本に注目していくことにより、若者たちが「日本はクール」と考えても不思議ではない。ちょうど、戦後の日本人がアメリカ文化に馴染んでいったようなものだ。
もっとも、AKIBA で働く女性たちの中には、「日本人観光客は尻を触ってくるので嫌い」という人もいるらしい。
さて、いつまで日本が彼らのクールでいられるだろうか。