自己責任論が怖い

自己責任論は、まさに両刃の剣だ。その刃が特定の対象にだけ向けられているうちは良い。しかし、その対象が際限なく拡張され、自分の一歩手前までやってきたとき、私たちはそれが両刃であったことに気付くのだろう。そして気付いたときにはもう遅い。マルティン・ニーメラーの言葉通りだ。

自己責任論は本当に怖い。それは投げれば自分の方向へ返ってくるブーメランだ。カントはいう。人を批判するとき、私たちはその批判が常に自分自身に返ってくることを意識していなければならない。大声で誰かを叱責するときは、その後誰かに罵倒される覚悟が必要なのである。批判は常に自分を通り越し、客観的な指針として私たち自身を縛る。だから声を上げるとき、私たちは慎重に慎重を期さなければならない。