コソボ独立宣言

セルビアコソボ自治州(と書けるのは今日までだ)の独立宣言が多くの国々に承認されたら、コソボが第二のパレスチナ問題と化すだろう。いや、既に半分くらいパレスチナ問題化しているのだが。まぁ、これは誰でも分かっていることだ。

コソボセルビア系住民にとってセルビア王国(及び正教会)の発祥地、即ち「聖地」だ。一方、アルバニア系民族はセルビア系の入植以前からコソボの地に住み続けており、自分たちに土地の支配権があると考えて無理はない。つまり、この地域に住むアルバニア人にとってコソボは、ユダヤ人にとっての「約束の地」のようなものなのだ*1

とはいえ、アルバニア系とセルビア系住民はユーゴスラビアが崩壊するまではうまくやってきていた。よって理想的な解決策はセルビアの他民族=連邦制国家路線だろう。

だが、このままセルビアEUへ加盟したとすると、イスラム教徒(=アルバニア系住民)が「欧州」の一員に加わってしまうことになる。歴史的な経緯で西欧諸国のイスラム嫌いは強烈*2だから、これは彼らにとって何としても避けたいシナリオだ。

もっとも、どうも日本のメディアはコソボ問題に関してロシアを目の敵にしたいらしい。セルビアにおけるロシアの覇権を維持したいがため、コソボ独立を阻止しようとしているというわけだ。いつまで経ってもロシアは悪の帝国か*3。正直な話、冷戦思考を引きずり過ぎ。実際問題、セルビアを民族別の連邦制国家にしたくないのは欧州連合と考える方が(今のところ)説得力がある。まぁ、どのみち日本にとっては些末な問題ではあるが。

*1:アルバニア人イスラム教徒なので、パレスチナ問題とは宗教的立場が逆

*2:EU加盟を目指すトルコに対し、西欧諸国の態度は冷酷極まりない。とはいえ交渉の席に着いているだけマシだが。

*3:ロシアは熊の帝国だ!