徹底検証 - 女性は機械か

なかなか今の女性は一生の間にたくさん子どもを産んでくれない。
(中略)
ほかからは生まれようがない。産む機械と言ってはなんだが(以下省略)
- 第7代厚生労働大臣の発言より

目覚めよ、女性は機械である!*1

日本に誇るべき人物がいる。彼は、あのダーウィンの功績にも等しい発見をしたのだ。その人物の名は、第7代厚生労働大臣(個体識別不要)。彼の経歴は、生物学とは余り関係のない経済政策論を軸としたものだが、その経済学の手法を用いて生物学の矛盾を検証し、遂に驚くべき発見を成し遂げた。
それが「女性は産む機械」という発言とその騒動の発端である…。

数日後、ここ静岡電波科学技術大学院大学(通称 SIRST)に驚天動地の発見を追試し、再検証を試みた愚か者たちがいる。kilemall 教授を中心とする研究グループだ。彼らの専門は主に国際政治や国内の歴史に関する研究であるが、静岡産の名産品に含まれるカフェインで異常に興奮した彼らは、何を思ったか自らに禁じていた「国内の時事ネタ」に手を出してしまったのだった。



検証の前提について

一般的に、生物は以下の3つの特徴を持っているとされている。

  • 自己と同等の機能を持った存在を複製する
  • 代謝(エネルギー変換)能力を有する
  • 自己とその他を隔てる境界を持ち、恒常性(ホメオスタシス)を保つ

これらの定義から、以下の特徴のいずれかがあれば生物ではない(例:機械, ウィルス)と考えられる*2

  • 自己と同等の機能を持った存在を複製できない
  • エネルギー(←なぜか変換できない
  • 自己とその他を隔てる境界を持たないか、恒常性を単独で維持できない

検証その1

引用した発言文から、「女性は機械である」という命題を背理法を用いて反証する。

「ほかからは生まれようがない」という発言は、人間は女性のみが産むことが可能であるという意味である。「産む」という行為は、即ち自己複製能力である。よって、この発言は「女性が自己複製能力を保持している」ことを認める発言であり、「産む機械」という発言と矛盾する。つまり、「女性は機械である」という命題は偽である。

よって、女性は機械ではない。

検証その2

思考実験により、「女性は機械である」という命題を反証する

ここに機械である女性が妊娠し、女児を出産したとする。当然、女児とは女性である。「女性は機械である」という仮定から、女性が女性を出産したことは、機械が自己と同等の機能を持った存在を複製したことと等しい。これは自己増殖能力であり、無生物の定義に反する。即ち、女性は生物である。ところで、機械は生物でない。

よって、女性は機械ではない。

なんだ、人型ロボットじゃないのか。

kilemall 教授グループによる検証により、「女性は機械である」という発見が誤りであることが判明した。もっとも、科学とは常に Try & Error(試行錯誤)を繰り返して発展するものであり、多少の勘違いには寛大な態度を示すべきである。第7代厚生労働大臣の玉砕精神に敬礼!

ところで、再検証を終えた kilemall 教授は以下のようにコメントを残している。

「女性は機械」発言で、夢見がちなアキバ系青少年が「え、気になるあの子も人型ロボットなの?萌えー」と明日への希望に血湧き肉踊っているところに水を差してしまったかもしれない…と猛省しています。日本の将来を担う若者の皆さんには、是非「美しい国、さわやか保育士」を目指して頑張って頂きたい。
- kilemall 教授のコメント

やんわりとオチを付けてみました。

*1:しつこいですが、第7代厚生労働大臣の発言であり、kilemall の意見ではありません。

*2:ド・モルガンの法則が適用されているため。-[A and B] = -A or -B