赤信号を渡ってはいけない理由

http://d.hatena.ne.jp/kusamisusa/20061129/p1

倫理・宗教・法律を持ち出さず、かつ情に訴える以外の方法で、「なぜ赤信号を渡ってはいけないのか」を説明してください。


「赤信号を渡ってはいけない」という文章は、まず「赤信号を渡る」という文章と「〜してはいけない」という文章に分けることができる。「赤信号を渡る」は単なる行為の記述である。また、「〜してはいけない」は「する(行為が)」という動詞に「いけない(望ましくない)」という意味の言葉が付属した表現で、「禁止」を意味している。「してはいけない」という表現は、一般的な動詞の後に続き*1、直前の動詞が禁止されていることを示す。この場合は、「赤信号を渡る」という行為が禁止されていることになる。

ところで、赤信号を渡ることは原理的に不可能ではない。つまり、「赤信号を渡ってはいけない」のは、赤信号が渡れない何らかの原因があるためだ。今回の場合、前提より倫理・宗教・法律・(損得)感情を原因として規定してはいけないので、これらを除外する。そこで他の原因を考えるならば、上に述べたように、「〜しなければならない」という補助動詞が「禁止」を意味していることに着目すべきである。つまり、「赤信号を渡る」ことは可能であるが、これを「〜しなければならない」という補助動詞と複合させることにより、当該行為を禁じているのである。


上記の説明は以下のように抽象化することができる。

「赤信号を渡ってはいけない」という一節は、禁止命令である。命令は文章である。文章は言語によって成り立っている。逆に言えば、言語がなければ文章は成り立たず、文章が成り立たなければ命令は効力を持ち得ない。よって、「赤信号を渡ってはいけない」理由は、「赤信号を渡ってはいけない」という一節が、言語(日本語)により、禁止命令として成立するためである。


ネタっぽくいうと、赤信号に対する敬意というか尊敬の念というか、要するに赤信号という伝統に対する日本人としての矜持を守る生き方というか、私たちの赤信号に対する敬愛の念は海よりも深く、空よりも広く、宇宙のように果てしないものなのです。意味不明。

*1:これを複合述語とも呼ぶ。