ヴィジュアル系効果とは

実力がない文字通り「こけおどし」に過ぎないはずの「ヴィジュアル系」であっても、外見による人気の獲得の後、仕事を順調にこなしていく過程で本物の実力を得てしまうような効果のこと。

ヴィジュアル系効果とは何か。

ロックバンドとしてデビューする前後に、若者は単純に「目立ちたい」との願望から奇抜な化粧や衣装をまとって演奏に興じる。そして、音楽家としての実力ではなく、外見の特徴から次第に人気が出始め、人気が一定の閾値を越えたあたりからテレビ出演や全国ツアーなど、比較的大きな仕事を任されるようになる。大きな仕事を順調にこなしていくためには、幾度となく演奏を繰り返し、その裏側でも練習を欠かすことが出来ない。そのようにして実践的に音楽家としての実力を得ていく。但し、この過程で実力を獲得する努力を怠った場合、バンドの人気は負の二次関数において変数xが正の値を取るときのように落ちていく(x軸を時間軸と見立てると分かりやすい)。

また、音楽家としての実力を獲得していくに従い、奇抜な衣装や化粧をすることを客観視するようになり、年齢との兼ね合いも相まって「ヴィジュアル系」と呼称されることや、奇抜な外見そのものに嫌悪感あるいは羞恥心を覚えるようになる心理効果も確認されている。

楽家としての実力を得たことにより、バンド内における各構成員の音楽に対する考え方(哲学)、人口に膾炙するところの「音楽性」の方向に差異が生じ、バンドとして成立しなくなってしまうこともある。構成員全体の実力が向上した場合には、この限りではない。但し、大抵の場合は構成員の一部のみ(特にベースやドラムなど目立たない楽器の担当者)が実力を獲得してしまうものである。

バンド内の構成員全体の実力が向上した場合、そのバンド自体が当初の方向性とは全く異なる音楽を志向するようになり、初期のファンが離れていくという現象もしばしば見られる。

過去にヴィジュアル系効果が見られたバンドの例としては、ビートルズが最も著名である。但し、ヴィジュアル系という名称自体は、20世紀末期の日本国で一時的に流行したロック音楽の形式に由来している。

音楽業界以外の場合

21世紀初頭、日本国におけるスポーツ業界では、期待の新人スポーツ選手に「○○王子」という呼称を与えるのが流行であったとされる。但し、「○○王子」という用語は、外見が良く実力のない選手というよりも、これからの成長が見込まれる将来有望な新人選手に対して与えられた。「青田買い」に近い社会現象である。

また、同様に21世紀初頭の日本国において、ある犯罪者が「監禁王子」とも呼ばれたが、これは上記の社会現象とは何の関連もない(当時流行していた下位文化に由来していると言われる)。

ヴィジュアル系は「奇抜な外見」を媒介とした大衆への訴求効果を狙ったものだが、その訴求媒体自体は血統や教育歴、人種といった要素と容易に代替可能である。