IT関連企業の9割が東京にある理由
IT関連企業の約9割が東京及び東京近辺に本社を構えているという。IT関連の事業は地理的な影響を受けにくいハズなので、東京周辺のみに偏っているのは奇妙に映る。
しかし、この謎を解く鍵は「9割のうちの殆どはIT関連企業に過ぎない」ということに尽きる。つまり、多くの「IT関連企業」というのは、情報通信産業そのものを手がけているのではなく、ITを基盤とした商売をしているに過ぎないのである。その本質はサービス業である。サービス業ならば、やはり東京に本社を構えるに越したことはないだろう。
これは同時に、いかに日本のIT産業に技術力がないかを示している。技術力があるならば、土地代や事務所費といった運営にかかる費用が劇的に抑えられる地方都市*1に本社を構えた方が有利だ。地方都市であれば、「地域活性に貢献してくれる」という名目で税を軽減してくれる場所もある。また、たとえ地方にあろうとも日本の道路網は東京を中心として縦横無尽に伸びているし、電車や飛行機といった移動手段を利用すれば、それほど不便ではない。少なくとも東京に本社を構えるよりも費用はかからない。実際、畑違いではあるが、トヨタやエプソンといった技術力のある企業は地方都市に本社を構えている。
結局、日本におけるIT企業の実態は、海外の技術を基盤とするサービス産業なのだ。あるいは、インドや中国を代表とする海外に技術開発を外注し、その上がりで生計を立てているようなタコ部屋の元締め(最近では派遣会社とも呼ばれる)のような企業でしかない。また、IT産業は自動車産業のように実体を伴う製品を造り出さない*2。そのため、技術力のある企業であればあるほど業態が地味になり、不当に低い評価をされることになる。
こんな不毛な商売をするバカはオタク(Computer Geek)を除いて存在しない。故に、ITの衣を被ったサービス企業が東京に集中することになる。サービス企業は、そのサービスを受けてくれる客が大量に存在していなければ成立しない。故に、大都市に本社を置かなければやっていけない。こうしてIT関連企業の9割が東京に密集することになる。
…ということを某地方都市に住むインド系移民(IT企業社長)から聞きました。