チェチェン人こそが悪である

(強烈な電波を発している文章ですのでお気をつけ下さい)

ロシアに多いスラブ系の白人はしばしば日本人好みの容貌をしていると言われる。だが、どうもロシアという国自体は日本に嫌われているようだ。何をやっても悪事だと叩かれる。そして今、最もロシアのイメージを損なっているのはチェチェン問題かもしれない。

ありがちな構図は次のようになる。弱い立場のチェチェン人たち。そこに軍事侵攻する悪しきロシア軍。虐殺されるチェチェン人をロシア大統領は民衆への見せしめにしている…。しかし、この構図は全くのデタラメだ。

竹島を韓国に明け渡せという論理

まず第一に、ある特定の地域だけが所属する国家から分離独立するなどという自体を政府が許容して良いはずがないということだ。特にロシアのように他民族・他宗教国家であればこそ、特定の地域だけが独立するという前例を作れば国家自体が崩壊しかねない。例えば今、北海道に対して日本からの独立を許容したとする*1。すると、東京中心の日本政府に不満を持つ各地域、九州及び琉球諸島、中京以西の本州にある地域も日本からそれぞれ独立しようとするだろう。東京は世界有数の都市とはいうものの、様々な面でその他の地域の助力なくして成立しない。東京は沈没する。

竹島問題でも分かるように、国家というとはたとえ小さな無人島であろうと手放してはならない。何故なら、それは結果として自国民の生活を脅かすような事態に繋がる可能性があるからだ*2。国家の存亡に関わるような問題の一切を許容してはならない。それが国家というものだ。平和とは他者の血と涙の上に成立する虚構なのである。

北朝鮮による拉致は許されるという論理

第二に、独立できないからといってテロを起こすような連中を野放しにして良いのだろうか。チェチェン人による公式なテロ行為はロシアを幾度となく恐怖に陥れてきた。ベスラン学校占拠事件がまだ記憶に新しいだろう。

百年前ならともかく、現代の独立運動はあくまで民主的な手段でなされるべきだ。だが、カナダのケベックですら独立できなかったように、民主的な手段で独立を手にするなどというのは全くの夢物語に過ぎない。国家とは暴力装置なのだ。その暴力は国家を統制するために存在する。要するに、現代において特定の地域が独立するというのは限りなく不可能な話なのだ。その現実を受け入れられず、独立に何の役にも立たない「テロ」という凶行によってストレス発散するような野蛮人は皆殺しにしても構わない。何故なら自国民の不利益にしかならないからだ。何故、その国が自国民の不利益になるようなことをしなければならないのだろう。

北朝鮮による拉致と比較してみよう。日本が北朝鮮におもねるようなことをしなければならない理由がどこにあるだろうか。全くない。北朝鮮の行為は全く許容できないものであり、日本は断固として北朝鮮に抗議をする権利がある。誰でも当たり前に理解できる話である。それが何故、ロシアのチェチェン問題になると意見が逆転するのか。アメリカ好きの反米主義者、ウサマ・ビン・ラディンに対する世界の立場と同じだ。テロリズムに訴えるようなケダモノどもには銃弾を餌に与えるのが似つかわしいのである。殺して黙らせるしかない。何故なら、彼らが私たちの平和を壊すからだ。

他国のために自国の利益を放棄しろという論理

第三に、チェチェン人の住む地域では石油が産出される。現代において石油とは即ち「力」と「富」の代名詞だ。国家にとって何よりも重要なものである。石油さえあれば、サウジ・アラビアのように仮初めの平和が構築できる。それだけ国家運営にとって決定的な要因であり、国家を強化する天の恵みである。

それを偶然その地域に住んでいたに過ぎない原住民に明け渡す必要があるのだろうか。その石油があれば多くの自国民を幸福にすることができる。何故、多くの自国民にとって決定的に不利益となる行為を政府が許容できるのであろうか。全く非合理な話である。チェチェン人は要するに利益を独占したいだけなのだ。ロシア国民全体に利益がある石油利権を独り占めにするためには、当然国家として独立しなければならない。その利益を手にするためならば、多くのロシア国民をテロによって虐殺することも辞さないのだろう。

ベンサムの正義を肯定しないなら皇居に原発を作れ

結局、ロシア政府の対応は全く妥当なのである。偶然発見された石油利権を独占しようとするチェチェン人に対し、国家として正当な抵抗を行っている。虐殺などとんでもない。先に手を出したのはチェチェン人の方である。ケダモノには銃弾と血の洗礼を浴びせるのが近代以降の鉄則だ。しつこいようだが、それが大半の自国民に対する利益に繋がるならば、何事も肯定されるのである。

たとえ北海道や青森県宮城県茨城県静岡県、石川県、新潟県福島県島根県愛媛県佐賀県、鹿児島県の住民が原発の暴走で被爆したとしても、日本の大抵の利益が集中する東京と大阪と名古屋にさえ被害がなければ何の問題もない。そういう論理である。東京都民や大阪府民、愛知県民がこの論理を否定することは不可能だろう。そうでなければ千代田原発や堺原発、豊田原発を作るのに賛成してもらうしかない。

必然的にチェチェン問題に対するロシアの態度も絶対的に肯定されるのである。

*1:榎本武揚による「蝦夷共和国」をモデルとした。

*2:一度外国に日本の領地を明け渡したら、その国はまた別の領地を手に入れようと画策するだろう。大韓民国だろうがセーシェルであろうと同じことである。自国の利益を最大化するためならば何でもするのが国家という共同体だ。