セルビア: 多民族国家になれるか

セルビアの大統領選挙で新欧米派のタディッチ大統領が当選した。仮に民族主義者のニコリッチ氏が当選していればコソボ自治政府との衝突は不可避であったが、この最悪のシナリオはまさに民主的な手法で回避された。この選挙結果によってセルビアの民主国家として信用度は高まったと言えるだろう。コソボはまもなく独立を宣言するらしいが、こうなると独立を大多数の他国が承認するかどうか微妙なところだ。

EUとしてはセルビア欧州連合加盟を条件としてコソボを独立を承認させたかったようだが、この選挙によってセルビアコソボという異民族を内包した他民族国家の道を歩むことになるかもしれない。ちょうどそれはフランス語圏のケベックを擁するカナダと似たような二言語二文化主義ということになる。連邦制になるには若干小さいような気もするが、地方分権がしっかりしていれば国土の大小は特に問題とはならないだろう。

スロベニアは経済も好調で既にEUに加盟した。クロアチアも準備は整いつつある。セルビアも隣のボスニア・ヘルツェゴビナもそうだが、早いところ政治情勢を安定してEUに加盟した方が良い。近いうちに北部にある東欧諸国の労務コスト(人件費)も上がってくるだろうから、そのときこそアドリア海側の東欧諸国に投資が集中するだろう。