触れてはならない人々

人を傷付けることしか出来ない者に対して一般的な人間関係を強制してはならない。彼らは人を傷付け続けることが愛であり信頼であると錯覚している。彼らに人間関係を迫ることは、狂犬を野に放つことに似ているのだ。同様に相手を傷付けてしまうと自覚している者は、相手と付き合わないようにするのが最も倫理的な行為である。本来、社会は彼らを必要としていないし、彼らも社会を必要としていない。お互いの需要と供給が噛み合わない状態から、数多くの悲劇が生み出され続けている。

この世界には人間関係を構築すべきでない者が一定数存在している。彼らに交友関係を強制することは百害あって一利なしだ。彼らは生きる凶器であり、彼らと相対する人々は強い精神的苦痛に苛まれる。だから、彼らに普通の人間関係を強制するべきではない。そのようにして自分の首を絞めるべきではない。

彼らの中にも自らの危険性を理解している者がいる。彼らは積極的に社会から距離を置こうとするだろう。彼らが人間社会から撤退したいと願うならば、そうさせるべきである。無理に社会に引きずり出す必要はない。そのままにしておくのが最善の策だ。元々、彼らには社会で生きていく必要性はない。目の前から消えてもらえれば良いのである。彼らに触れる必要はないし、触れてはならない。

この世界には救われない人々が存在する。彼らに一般的な社会生活を行うよう促してはならない。そういった安っぽい博愛主義、あるいは勘違いな平等主義は、常に双方にとって最悪の結果をもたらす。互いに相手を憎み合いながらも、しかし決して交わることがない世界。それこそが最も快適で、倫理的な空間なのである。