生活が安定していれば格差社会は認識し得ない

格差社会で格差がついているものは「収入」ではなくて「生活の安定」だ。

アメリカ合衆国では意図的に(あるいは無意識のうちに)人々の「生活の安定」が揺らぐように社会が構成されている。「収入」にどれほどの差があろうとも、「安定」がないという点では殆どの人間が平等である。少なくともそのような神話が共有されている。

日本では意図的に(あるいは無意識のうちに)人々の「生活の安定」が固定化するように社会が構成されていた。「収入」にどれほど差があろうとも、「安定」しているという点では殆どの人間が平等である、という神話が共有されていた。現在の日本は「収入」も「安定」も揺らぎ始めている。神話はもう共有されていないし、共有できる状態ではない。社会の上位に居座る者ですら現在の境遇に確信が持てず、不安をかき消すように年収に零の数を増やしていく。